幼い頃からTVゲームが好きだった。
物心ついた時に家に有った「TVゲーム15(任天堂)」を皮切りに、任天堂のブロック崩しや、各種LSIゲーム、ゲーム&ウォッチと、様々なゲームを遊び倒していた。
そんな私がデパートのゲームコーナーや、駄菓子屋の店先に置いてあるアーケードゲームも好きだったことは言うまでもない。
小学4年生のある日、当時それほど仲が良いわけでもなかったクラスメイト[K]が「すごいもんあるぞ。遊びに来い」と電話をしてきた。
なんだろう?と思い、そのクラスメイトの家に行くと、クラスの男子ほぼ全員が勢ぞろいしていた。
さすがスーパーゼネコンの役員宅だ。(もちろん当時はゼネコンだとか役員だとかを知っていたわけではないが)
Kが、テレビの前に鎮座する「ファミリーコンピューター」とやらの電源スイッチをONにするや否や、画面にはなんとドンキーコングが映し出された。
おそらくそれまで、いや、今現在となっても、生涯のうちで、あの時ほど衝撃を受けたことはない。
Kは赤く四角いものを手に取り、ボタンを押した。
まさしく、アーケードゲームで動いているあの「ドンキーコング」だ。
しかし、なにかがおかしい。
色や音が違う。
私は、Kに「これ、絵はそっくりやけど色と音が違うがん」と言ってみた。
するとKは「えー?ゲームセンターのと一緒だって。面が始まるときの絵はないけど」
と言ってきた。
釈然としないものを感じつつも、一機やらせてもらい、その余りのスムースさ、操作感にしびれ、些少な違いはどうでもよくなっていた。
それから何年か後、私は知るのであった。
自身が駄菓子屋でプレイしていたのは、ドンキーコングではなく「クレイジーコング」だったのだと。